何をしているかと言えば、こちら。
http://www.motto-bunka.com/index.html
お読み頂ければお分かりのように、芸術家の皆さんが「国家予算の0.5%を文化予算に充ててくれ」という嘆願書を御上に提出しましょう、と仰ってるわけです。
まあ、普通に言えば、「その通りですねぇ」としか言いようがないんですけど…署名活動現場に立ってる関係者の方などと話をするに、嘆願書をどこにどう出すのか、どんな勝算があるのか、現場まで戦略は伝えられていないようです。
敢えて言います。これじゃあダメです。「もっと金をくれ」と数を集めても、文化予算に直接利害がある人口がどれくらいいるかの統計を取るくらいの意味しかない。
だって、昨年の政権交代やらアメリカのオバマ政権成立以降の世の中の動きとは、日本もアメリカも「総論としての改革は賛成で推し進めてくれねば困る、でも自分の利害のあるところの改革は反対!」というのがあたしら庶民ひとりひとりの正直な意見である、ってことがドンドン顕わになってくる過程だったようにしか思えないのですわ。ホントの改革をやりそうな政府を「第三の権力」のメディアで潰し、改革をやりそうな政治家を「第二の権力」の検察&司法で潰し、これまでと同じように考えたり喋ったり生活すれば良い、みんながなーんにも変えずに生きていけそうな政府に戻した。
どうやらそれが国民の総意のようなので、テロリストでもなければ革命家でもないしがない愛国者のやくぺん先生とすれば、皆様のご意見に従うしかないわけあります。うん。
そんなこんなの過程で判ったのは、「俺にもっと税金からの配分を増やしてくれ」という言い方では、利害や関心を異にする人たちを説得など出来ない、それどころか、反発させ「あんな奴らに金を配る必要なんかない」と声を揚げられるのがおちだ、ってこと。手頃な実例は大阪府にあります。
んで、もの凄い乱暴な結論です。芸団協の皆さん、「文化予算を増やして下さい」という御上への陳情は、もう止めましょう。それよりも、「文化団体や文化への金の流れから国家は身を引いて下さい」という陳情にしませんか。
もうちょっと具体的に言えば、「文化団体や自分の地元の劇場に寄付をしたら、その寄付分は私の払う税金からさっ引いて、寄付分がきっちり戻ってくるシステムを作って下さい」というキャンペーンをやるべきじゃないでしょうか。全ての芸術団体を対象とするなど無理というのならば、それこそ御上が「劇場」と認めた公共文化施設への寄付には税金が戻ってくるだけでも結構です。
現在のシステムは、国家や自治体が人々から暴力(なんせ税金を払わないと身体を拘束されるのですから、我々は暴力を背景に税金を払わされている。この事実を忘れないようにしましょーね)で集めた税金を、御上の賢い方や文化庁のノンキャリア官僚某氏の判断で緒芸術団体に再配分する、というやり方です。無駄を省こうとするなら、金を集めたり再配分したりする部分を可能な限りなくすのが、最も簡単で良い方法。無駄な中間を省いてコスト削減をするわけですね。そんなの猿にだって判る。
だから、私の税金から文化にまわってる部分は、御上じゃなく自分で払い先を決められるようにしてもらう。それでオシマイ。御上は文化には出来るだけ出て来て下さらないで結構で御座います、あたしら勝手にやりますから、ってだけのことです。
はっきり言います。小生は、今、芸団協が行っている署名には協力する気はありません。それよりも、税制システムの変更を求める運動を起こすべきだと思います。
「書いてあることは嘘ばかり」が原則のこの電子壁新聞、たまにはホントのことも言います。これ、嘘じゃないよ!
この記事へのコメント
とらお
上の投稿、twitter方面ですごく盛り上がってます。賛同するつぶやきが続出です。
>「文化団体や自分の地元の劇場に寄付をしたら、その寄付分は私の払う税金からさっ引いて、寄付分がきっちり戻ってくるシステムを作って下さい」というキャンペーンをやるべきじゃないでしょうか。全ての芸術団体を対象とするなど無理というのならば、それこそ御上が「劇場」と認めた公共文化施設への寄付には税金が戻ってくるだけでも結構です。
これ、実際に制度設計の試案を考えてみたいですね。
Yakupen
ああいう間抜けな檄文を投げてみると、いろいろ反応があるものですねぇ。真面目な話、どなたか国家財政システムについてきちんと判った法律の専門家さんが、具体化への叩き台試案を作って頂けないかと思うわけです。で、芸団協とは別のアート組織、例えばそれこそ全国アートNPO連絡協議会とかが本格的に音頭を取って、本気で「アート税制改革のケーススタディ」を1年くらいかけてきちんとしたものにし、次の衆議院選挙に焦点を合わせてなんらかの運動をすることは出来ないでしょうかねぇ。
ポイントは明快で、「国から金を貰うのではなく、芸術の金の動きに対する国の干渉を少しでも減らす」こと。その一点です。
上述の提案は、小生は昔から酒を飲むと叫んでいたのですけど、誰も真面目に取り上げてくれなかった。そんなの絶対に不可能だと一蹴されるばかりでした。ちょっとは本気で考えようという機運が少しでも盛り上がってきたのなら、昨年来のいろんな動きにも少しは意味があったのかもしれませんね。
高崎
はじめまして。
極端なハナシですが、文化に限らずすべての税金を集めるのをやめる。必要な道路はみんなでお金を出しあって作る。病院や経済政策に必要な費用も同様に。
自助努力をしても、必要最低限度の生活を送れない人も、みんなでそのつどお金を出しあって助ける。
と、どのへんで線引きされるのでしょうか。
Yakupen
最終的にはそうなるのが理想なんでしょうけど、そういうわけにもいかないから、必要悪としての国家というか、暴力を背景にした納税システムは残っていくでしょうね。
ええと、暇だったらいろいろ詰めたかったんですけど、例えば上述の話は、当然、「福祉関係に寄付すると税金が戻る」、「スポーツ関係に寄付すると戻る」、「学術研究に寄付すると税金が戻る」、などの他の選択肢も存在せねばならぬのですよ。ですから、道路なんかも同じようにやろうぜ、なんて自治体が出て来てもおかしくないでしょうね。
で、そんなことすれば当然、ある部分に偏りが出てくるでしょうから、そうなったらデータがきちんと出た段階で御上が介入して、「文化に直接納税出来るのは一世帯50万円まで」とか上限を設けるようになるでしょうね。それはそれで全く当然のことだと思います。他のジャンルでも同じ事。
ですから、どこで線引きするかはそれほど心配する必要はないと小生は思ってます。こりゃやばそうだ、という場合は判るわけですから、その段階で御上が乗り出してくる。国家のお仕事は、結果として金があまり集まってこない部分の世話を焼くことになるわけです。
判る方にはとっくに判ってらっしゃると思いますけど、小生が言ってるのは、まるで教科書に書いてあるような「小さな国家」です。
高崎
Yakupen
http://blog.canpan.info/jfra/archive/399