《鱒》型五重奏の秘曲が聴けるぞ!

氷点下5度とか7度とかの朝も普通に迎える温泉県盆地の厳冬期を避ける爺の避寒のように新帝都トーキョーに滞在しはや3週間、この日曜日にはとうとう関東の冬の空っ風と抜けるような晴天にやっと別れを告げ、野球とサッカーの冬季キャンプで盛り上がり宿がアホみたいにお高い宮崎に向かい、日本フィル九州演奏旅行追っかけが始まるのであーる。

この1ヶ月弱に及ぶ滞在中に北陸関西プチツアーを含め室内楽10、器楽1、オーケストラ5、オペラ1、レクチャー1、という文字通り大都会に出てきた田舎者爺が数こなす、って連日の演奏会通い。大川端縦長屋でご家族夕ご飯を喰らったのは5晩のみという情けなさ。いやはや、困った不良爺であるわい。

さてもさても、そんな、恐らくはこの先の人生で最長不倒になるやもな新帝都長期滞在の最後を飾るのは、来る土曜日のこの演奏会なのであーる。
https://www.geidai.ac.jp/container/sogakudo/151510.html
上野の杜の藝大で学ぶ若者達が、年度末に一年間培った力を世に問う発表会。なんだそんなん学生コンサートか、となめてはいかんよ。演奏家さんとしての力は言うまでもないが、ポイントはその演目じゃわい。とりわけ、初日土曜日には好き者には外せない、おおおおお、と狂喜乱舞の貴重な楽譜が音になるのであーる。そー、言うまでもない、世間にオリジナルとしては片手くらいしかレパートリーが存在しない《鱒》型ピアノ五重奏曲の隠れた逸品、ドゥーセクのピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスのための五重奏曲が演奏されるのでありますよ。

世のコントラバス弾きさんとすれば寝てても弾けると言われている(わけなかろーがぁ)《鱒》の編成といえば、他には《鱒》のフォーマットネタ元とされるフンメルの七重奏の五重奏編曲がときおり《鱒》の演奏会の前座というと叱られるが、まあ有り体に言って前座として披露されることがあるものの、他には文献として出てくるのはガッツリとロマン派のゲッツとか、みんなが大好き英国作家のヴォーン=ウィリアムズの秘曲とか、それからときたま名前を見るのがこのドゥーシクでんな。

この作品、てか、この作曲家、SNS時代に何よりも困るのが、この期に及んで未だに日本語表記の定訳がないこと。やくぺん先生も「どーしぇく」とか「どうーせっく」とか、いろいろ書き散らしているようで、過去原稿検索してもなにがなにやら出てこないステルスっぷり。「ドヴォルザーク」がそんな発音は全くしないぞと文句言われて1世紀を越えながらも表記として定着してくれているのとは真逆、ともかく検索しにくい作曲家の筆頭のひとりになっておりまする。そんなことはまあ、Johann Ladislaus Dussekをコピペ検索すると割り切ってしまえばそれまでなんじゃろがのぉ。

幸いにもYouTube上にはこれ以上理想的な顔ぶれはない、って人気実力者が束になって演奏している映像があるので、そっちをご覧あれ。
なんのかんの言って、やっぱり主役はピアノという感は否めない音楽だし、それを言い出せば1799年のロンドンという作曲された時期や場所などを考えるに、今のエラール以降のモダンピアノではなく所謂フォルテピアノの最後の辺りの響きだとバランスがまた違ってくるのか、なんて感じたりしますけど……それはまあ、次の欲求ということで。

文献では見るもなかなか耳に出来ない作品をライヴで耳にするチャンス、土曜日の午後は上野の杜へ急げ!

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